「秋襲(あきがさね)」 錦玉・羊羹製:鶴屋吉信
透き通る錦玉羹の中にこなし製の鮮やかな紅葉を散らし、小倉羊羹の上に配した棹物菓子です。
平安時代に宮中で生まれた襲の色目(かさねのいろめ)と呼ばれる色の合わせ方があります。
色とりどりの紅葉が雅に重なり合う様を、この襲に見立てた素敵な菓銘ですね。
京都の和菓子屋さんだけに、その意匠からは京の名刹の紅葉を連想します。
京都の紅葉は11月中旬から12月上旬頃が見ごろなので、今頃多くの人でにぎわっていることでしょう。
東福寺や清水寺など有名どころは人が押し寄せ、ディズニーランド並の行列ができて閉口してしまいます。
以前、京都に住んでいた頃、人ごみの嫌いな私は、静かに楽しめるスポットをあちこち探し回ったものです。
そしてついに見つけた意外な穴場がこちらです。
京都府立植物園
池の周囲に沿って楓並木があり、水面に映った紅葉が美しく、まさにこのお菓子のような光景が楽しめるのです。