「夕紅葉(ゆうもみじ)」煉切製:一炉庵
本紅(ほんべに)を用い、赤く染めた煉切で小豆こし餡を包み、楓葉を描いた木型で押し抜いたお菓子です。
夕紅葉とは、 夕日に映える紅葉のことで、俳句の世界では晩秋の季語になっています。
駆け足で夕闇が迫って来る慌ただしい晩秋の夕暮れ時、舞い散るもみじの一瞬の輝きを見事に写した逸品ですね。
本紅とは、紅花の色素を梅酢で分離した色素のことで、生産に手間と時間がかかるため非常に高価で、『金一匁(もんめ)紅一匁』という言葉通り、同じ重量の金に匹敵する価値があるとも言われていた最高級の天然色素です。
この美しい本紅で染め上げた煉切を使った上生菓子も一炉庵さんの十八番で、毎月必ず登場します。
「丹頂(たんちょう)」
「千代の梅(ちよのうめ)」
「初桜(はつざくら)」
「夜桜(よざくら)」
「五月雨(さみだれ)」
「端午(たんご)」
「ハイビスカス」
「なでしこ」
「公孫樹(こうそんじゅ)」
「ポインセチア」
本来赤いものは本紅を用いることによって、より鮮やかで深みのある色合いに。
また、本来赤くないものもあえて本紅で描くことで、この色の持つパワーにあやかり、勢いや情熱まで感じられる作品に仕上がっていますね。