「秋風(あきかぜ)」求肥・羊羹製:一炉庵
緑と黄色にぼかし染めた羊羹シートで小豆こし餡入りの求肥餅を包み、黄色く染めた煉切製のいちょうの葉を添えたお菓子です。
「秋風」とは、その名の通り、秋に吹く風のことですが、秋の進行とともに風の吹き方も変化していきます。
秋の訪れを知らせてくれる初秋の風はまだ少し残暑を引きずっていますが、その後、しだいに爽やかさを増し、仲秋の風となります。
そして、晩秋の風ともなると、冷気をともない、ひっそり物寂しげに吹き、やがて木枯らしへと引き継がれていくのです。
この時季のいちょうは、緑と黄色の比率が木によってすべて違っていて、まだほとんど緑色のものから、すでに八割くらい色づいたものまで、いろいろなパターンの色調の変化が楽しめます。
そんないちょう並木のグラデーションを背景に、ひとひらのいちょうの葉が、秋風に乗って音もなく舞い降りてきたイメージのお菓子ですね。