「梢の錦(こずえのにしき)」淡雪羹製:菊家
辺りを金色に染め上げる秋の風物詩を、淡雪羹(あわゆきかん)で清々しく表現したお菓子です。
緑色と黄色に染め分けた錦玉をいちょうの形に抜き、泡雪の上に散り敷いています。四角い真っ白な姿は端正でとても美しいですね。
卵白は、機械で泡立てると、泡が軽すぎ、食べてうまみに欠けるため、菊家さんの淡雪羹はすべて手で、と心がこもっています。
錦玉液と卵白のバランス、泡立て方がポイントとなるお菓子です。
寒天を使った菓子は、比較的しっかりした口当たりのものが多いですが、淡雪羹は、まさにその名の通り、春の淡雪のように、口の中でふわっとまろやかにとけます。
わたしの家の近くに、「いちょう通り」と名前のついている道路があり、その名の通り、街路樹はすべていちょうの木なのですが、この時季、緑と黄色の比率が木によってすべて違っていて、まだほとんど緑色のものから、すでに八割くらい色づいたものまで、いろいろなパターンのグラデーションが楽しめます。