「落葉(おちば)」村雨製:一炉庵
小豆こし餡に砂糖と米粉をまぜてふるいで漉し、そぼろ状にしたものに大納言の蜜漬けを入れ、小豆つぶ餡を包み、蒸し固めます。その上に朱色に染めた煉切製の葉を添えたお菓子です。
「村雨(むらさめ)」とは、餡をふるいで漉し、そぼろ状にしたものを蒸し固める製法のことです。時雨(しぐれ)、時雨羹、高麗餅などとも呼ばれます。
ホロホロとくずれそうな、乾いた感じの風合いですが、噛むほどにモチモチ、しっとりとしてきて、やがて口の中で溶けてしまうという独特の食感が特徴です。
形の整った四角形でなく、角の部分が少し欠け崩れていたり、そぼろのきめの粗さが目立っていたりするのが、やがて朽ち果てていく落葉の風情に合っていますね。
落葉のしきりに降るさまを雨に例えて、「落葉の雨」「落葉の時雨」ともいいます。
適度な湿り気と、ほろっとした村雨の感触は、その名の通り、雨の趣にも通じるようですね。
落葉の雨を村雨で表現した味わい深い逸品です。