「織部饅(おりべまん)」薯蕷製:とらや
焼き物の織部焼に見立てたお菓子です。白い薯蕷饅頭の表面に、緑のにおい(色差し)をほどこし、井桁(いげた)、梅鉢、木賊(とくさ)の焼き印を配しています。天保8年(1837)に初めて創作されました。
井桁:井戸の地上部の縁に上から見て「井」の字形に組んだ木枠
梅鉢:一重の梅の花を正面から見た形を図案化したもの
木賊:多年生の常緑シダ植物
桃山時代の大名で茶人でもあった古田織部(ふるたおりべ)は千利休の弟子で、利休の死後、茶の湯の第一人者となりました。
美濃地方(岐阜県)で焼かれた織部焼という陶器は、この古田織部が作陶を指導したことから名付けられました。
織部焼の特色は、独特な深緑色の釉(うわぐすり)と様々な意匠の文様にあります。
(出典:http://item.rakuten.co.jp/imayashop/senntyadougu-77/)
この焼き物の趣をお菓子に写したのが「織部饅頭(おりべまんじゅう)」です。
真っ白い薯蕷饅頭に、緑釉(りょくゆう)に見立てた緑の色をつけ、様々な焼印を押したものがあります。
「織部上用(おりべじょうよう)」薯蕷製:鶴屋八幡
焼印はなく、シンプルに織部釉のみです。
「織部饅頭(おりべまんじゅう)」薯蕷製:鈴木家
シンプルに織部釉のみで、焼印はありません。
「織部饅頭(おりべまんじゅう)」薯蕷製:秋色庵大坂家
織部釉のみで、焼印はありません。
「おりべ饅頭(おりべまんじゅう)」薯蕷製:いいだばし萬年堂
織部釉に井桁の焼印です。
「織部(おりべ) 」薯蕷製 :みのや本店
同じく、織部釉に井桁の焼印ですが、井桁が直線的な「♯」ではなく、漢字の「井」になっているのが特徴です。
「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」薯蕷製:永楽家
織部釉に井桁の焼印です。織部釉の独特のぼかしが特徴です。
「織部(おりべ)」薯蕷製:豊島屋
織部釉と井桁、それぞれ二ヶ所ずつあるのが特徴です。
「織部(おりべ)」薯蕷製:ささま
織部釉も井桁も巨大です。
「織部(おりべ)」薯蕷製:長嶋屋
織部釉に井桁と梅鉢の焼印です。
「薯蕷まんじゅう(じょうよまんじゅう)」薯蕷製:千草庵
織部釉に井桁と梅鉢の焼印です。
「織部饅頭(おりべまんじゅう)」薯蕷製:三鈴
織部釉に井桁と梅鉢の焼印です。
「織部薯蕷(おりべじょうよ)」薯蕷製:末富
織部釉に光琳菊の焼印が押されています。
織部釉の色合いや濃淡の微妙な変化、染めつける範囲や形の違い、焼印のバリエーションなどを楽しめるお菓子ですね。