カカポという鳥をご存知ですか?
ニュージーランド土着の夜行性オウムの一種だそうですが、私は知りませんでした。
当図鑑の熱心なフォロワーであり、カカポを愛してやまない翠園さんのアイデアで、この貴重な鳥をお菓子で表現することになりました。
どんな鳥なのか、まずは、実物の写真をみてみましょう。
(出典:https://www.pinterest.jp/explore/flightless-parrot/)
澄み切った愛くるしい目が印象的ですね。モスグリーンと黄褐色の地にまだら模様が入った羽色も美しいです。
世界で唯一飛べないオウムであり、最も体重が重いオウムでもあります。
その個体数は現在確認されているだけで100羽程度しかおらず、絶滅の危機に瀕しているそうです。
さて、翠園さんが描かれたお菓子のイメージ画はこちらです。
見事に特徴をとらえ、お菓子に変換しやすいようにうまく単純化されているので助かります(^^♪
まずは製法ですが、これはもう、きんとん製以外に考えられないですね。そぼろの色は、原案では、緑・黄緑・青緑の三色が使われていますが、予算の都合で今回は緑・薄緑の二色とさせていただきました。
目とくちばしは、当初、いずれも煉切製で考えていましたが、チャームポイントである目の輝きを出すために、目は羊羹製にすることにしました。
目の形に関しては、最初、薄くのばした羊羹生地を小さな丸い型で抜き、平面的な円形で表現しようとしましたが、目に生気が感じられなくて却下。最終的に、羊羹を半球状にくり抜く器具を使って作りました。
目とくちばしの大きさのバランスや配置の調整も難しかったですね。目と目の間の距離が少し違っただけで目つきが変わりますし、手作りのため、目は完全な球形でなく、多少歪みがあり、その位置の微妙な違いによっても表情が異なるので、何度も試行錯誤を繰り返しました。
お菓子の制作は、お馴染み、横浜野毛の老舗「もみぢ」さんにお願いしました。
「歌香宝(かかぽ)」きんとん製:翠園/もみぢ
緑と薄緑色の二色のそぼろを小豆こし餡の周りに植え付け、羊羹製の目、黄色い煉切製のくちばしを配したお菓子です。
素敵な菓銘も、翠園さん自身による命名です。
その由来は、《数年に一度の集団お見合い(レック)でオスが夜通しメスに歌い続けること、香りが花のようだと言われること、絶滅寸前で貴重な宝とも言うべき存在であることから、この名前をつけました。》とおっしゃっていました。
カカポの特色をたった三文字で表せ、しかも読みもピタリとはまり、字面も美しい。これほどふさわしい名前はないのではないでしょうか。
カカポの和名は「フクロウオウム(梟鸚鵡)」というそうですが、この「歌香宝」に変えたいくらいですね。
最後に、お菓子の改良点としては、そぼろをもう少しきめ細かくしたいのと、目の色を濃紺にし、グラス絞り羊羹でつくることで、さらに光沢感や艶感を出したいところです。
次回、再度チャレンジをしたいですね。