「木枯し(こがらし)」煉切製:柏屋
橙色に染めた煉切に、小豆を皮ごと練り込んだ煉切を合わせ、生地を作ります。それで葉の形を作り、表面に木型で葉脈の筋をつけ、栗餡を巻き包んだお菓子です。
煉切に練りこんだ小豆がつぶれ、暗紫色の皮がぶち状に散らばり、それがうまい具合に枯れた葉っぱの風合いになっていますね。
桂皮抹をつけた棒で押して葉縁の一部に欠けをつくり、虫食いの跡を表しているのもリアルです。
冬になり、木枯らしがあちらこちらで 吹き荒れ、色とりどりの枯れ葉がくるくると舞い、北風と戯れている様をお菓子で見事に表現しています。
「こがらし」とは、冬の到来を告げる強い北風のことです。
漢字で書くと、「木枯らし」「木枯し」「木枯」など、送り仮名の付け方が様々で、また、漢字一文字で「凩」と書くこともあります。
柏屋さんの菓銘は「木枯し」となっています。この日記では、一番一般的な表記法の「木枯らし」を採用します。
日本の気象庁では、木枯らしの条件が具体的に設定されています。
それによると、10月半ばから11月末にかけて西高東低の冬型の気圧配置になった時、北よりの風速8メートル以上の風が吹くとその風を「木枯らし」と認定しています。
東京地方の今年一番目の木枯らし(木枯らし一号)は、先日10月30日 に吹きました。
いよいよ冬のスタートの火蓋が切られ、身が引き締まる思いです。