「鶉餅(うずらもち)」餅製:とらや
中に小豆こし餡を入れた餅製で、丸くかたどった鳥型に形成し、かわいいくちばしと短い尾っぽを作り、さらに焼印で目と羽をつけています。初出は慶安4年(1651)。
鶉餅と名づけられた餅菓子は数多く、9月から10月頃にかけて、いろいろな意匠のものが各店で売り出されます。
その多くは求肥皮で楕円形に作られ、黄身餡仕立てにされることが多く、鶉の背に見立てて、上に一筋の焼筋を入れたものや、胡麻を少し振りかけたものなど、抽象的な意匠のものをよく見かけます。
とらやさんのものは、これらとは一線を画し、目鼻立ち(目口立ち)がキリリと整っているのが特徴ですね。
鶉はずんぐりとした姿で、ちょこまかと動く姿がとても愛嬌があります。羽色は秋の野にまぎれやすい枯草色。鳴き声がよいので、古くは愛玩鳥としてよく飼われていたようです。