「金木犀(きんもくせい)」きんとん製:いづみや
黄色に染めたそぼろをレモン餡のまわりに植え付け、煉切製の黄金色の四弁花を添え、金粉を散らしたお菓子です。
春の沈丁花、夏のクチナシと並び、秋の香りの代表である金木犀を見事に写した逸品です。
きめの細かい繊細なそぼろは、小さい花の群れを、金粉は、あたりに漂う濃厚な香りを表現しているように感じます。
爽やかなレモン餡の甘酸っぱさも、お菓子の雰囲気によくマッチしていますね。
その美しい黄金色の花色のせいなのか、あるいは月の美しい季節に咲くからなのか、金木犀には月にまつわる伝説がたくさんあります。
言い伝えによると月には巨大な金木犀が茂っていて、この木に花が咲くと月が満ちていき、満開になった時が満月となるといわれています。
また、月の金木犀の種が地球へと落ちてきて、それが地上に生える金木犀の起源になったというのもあります。
秋の夜長、どこからともなく漂ってくるかすかな甘い香りを感じながら月を眺めるのも乙ですね。