「菊慈童(きくじどう)」きんとん製:菊家
小豆こし餡をまるめ、その上に栗の蜜漬けをのせます。そのまわりに、ピンク色と白にぼかし染めたそぼろをこんもりと植え付けています。
「菊慈童」という中国の伝説にちなんだお菓子です。
《中国は周の時代に穆王(ぼくおう)の寵愛をうけていた慈童と言う少年がいました。しかし、ある時仕えていた王の枕を誤ってまたいでしまい、その罪により深い山奥に追放されてしまいます。
その山には猛獣も住み、入ったら二度とは戻れないとも言われた深山でしたので、追放した穆王もさすがに慈童を哀れみ、尊いお経である「普門品(ふもんぼん)」の一説を毎日唱えるよう、枕とともに渡しました。
深山へ追放された慈童は、その言いつけを堅く守り、毎朝十方に一礼し、その一説を唱え続けましたが、唱える詞を忘れてはいけないと菊の葉に書いておいたところ、なんとその菊の葉からしたたる雫が、霊薬の菊酒となり、慈童はその霊水を飲み、少年のままの姿で七百年生き続けました。》
(文献 http://blog.livedoor.jp/nisikawaryu1/ ニュース&トピックス)
この物語は、日本では、能楽の作品としても知られていますし、日本画の題材としても人気で、いろいろな画家が描いています。
真ん中の艶やかな栗を不老不死になった慈童に、そのまわりのきんとんを菊に見立てているようですね。
横山大観「菊慈童」1897年
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