「菊づくし(きくづくし)」淡雪羹製:菊家
紫、ピンク、黄色に染めた羊羹を菊の花形に抜いたものや、葉に見立てた緑色の短冊状の羊羹などを淡雪羹の中に散りばめたお菓子です。
「菊づくし」とは、日本舞踊の演目のひとつでもありますが、この菓銘は、”いろいろな菊をいろいろな方法で楽しむ”と解釈しました。
見て楽しむ:桜と並んで、日本の国花とされる菊。この時期、全国で菊人形、菊祭り、菊花展などで、いろいろな菊を見て楽しむことができます。
生けて楽しむ:伝統的な生け花はもちろんのこと、いろいろな菊を素敵にアレンジし、塗りのおわんや和食器、ガラス食器などに浮かべ爽やかなフラワーアレンジメントを楽しみます。
育てて楽しむ:和菊を育てるのは難しいようですが、育てやすい洋菊を植えてガーデニングを楽しみます。
飲んで楽しむ:疲れ目や熱にも効くといわれる菊花茶を飲みます。また、重陽の節句には、杯に菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んで長寿を祈います。
食べて楽しむ:食用菊を使ったおひたしやサラダなど、いろいろな料理で菊花の味を楽しみます。
浸かって楽しむ:菊の芳香には、皮膚を刺激して血行を促進し、身体の痛みをやわらげる効果があるので、お風呂に入れて菊湯を楽しみます。
眠りながら楽しむ:乾燥させた菊の花弁を詰め物に用いた菊枕で上品な香気を楽しみながら快眠します。
塗って楽しむ:重陽の節供では、前日に菊の花に綿をかぶせておき、翌朝、菊の夜露をたっぷり含んだ綿で肌を拭いて、長寿祈願をおこないます。(菊の着せ綿)
まだまだ、いろいろな楽しみ方があると思いますが、私は、機会があれば、最後の菊の着せ綿を一回体験したいと思っています。