「菊(きく)」煉切製:花ごろも
淡い紅色に染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、三角へらを使って花弁の数に分けて筋目を入れて、手技(てわざ)で菊の花をかたどります。さらに、中央には、しべの形の三角棒という道具で押して黄色の花芯を入れて完成です。
菊は気品と清香に富む風格の高い花で、蘭、竹、梅と共に、草木の中の君子(四君子:しくんし)として愛され親しまれてきました。
それゆえ、さまざまなものに意匠され、この時季の茶菓子にも登場することの多いものです。
特に手技で作り上げる煉切製の菊花は、職人さんの腕の見せ所となっていて、各店から精巧な意匠の傑作が生ま れます。
手技ならではの、微妙な左右差、わずかな不揃い、絶妙な歪み加減などが、かえって、深い味わいとなり、惹き付けられますね。