”日本の美の特徴は「大胆な省略」だ”
と唱える人がいますが、江戸時代の有名な画家「尾形光琳(おがたこうりん)」も省略の天才です。
有名なのは「光琳菊」と呼ばれる菊の図案。
〇(丸)の中に・(点)だけという極度に簡素化された菊の文様は上生菓子の意匠としてもよく使われています。
下に並べた上生菓子はすべて菊を表現していますが、あまりにもシンプルで、言われないと何を表現しているのかわからないでしょう。
ほんわかとした描線でシンプルに創られた形態は優雅で、少しユーモラスな味わいもあり、微笑ましい。
上から順に
「光琳菊(こうりんぎく)」道明寺製:末富
「菊(きく)」薯蕷製:千草庵
「光琳の菊(こうりんのきく)」月餅製:鶴屋八幡
「清香(せいこう)」薯蕷製:福壽堂秀信
「光琳の菊(こうりんのきく)」求肥製:庵月
「光琳菊(こうりんぎく)」薯蕷製:両口屋是清
「園の菊(そののきく)」煉切製:亀澤堂