「柿(かき)」煉切製:もみぢ
だいだい色に染めた煉切で餡を包み、柿の形に整えます。さらに、緑色に染めた煉切で十字型のヘタ(蔕)を作り、黒文字をさして本体に固定し柄に見立てたお菓子です。
茶道をたしなむ方にはお馴染みの黒文字(くろもじ)。
黒文字とは下の写真の一番手前にある菓子用の楊枝のことです。
黒文字はまた、楊枝の材料となる木の名前でもあります。
黒文字の木は北海道から九州まで全国の山野に自生するクスノキ科の落葉灌木。緑色の枝に黒い模様があり、それが文字のように見えることから黒文字と呼ばれています。
樹皮を残して削った楊枝は高級和菓子に添えると上品な雰囲気を醸し出し、お茶席には欠かせないものです。
黒文字の木からは香料もとれるほど香りの良い木で、すがすがしい柑橘系の香りがする特別な楊枝となります。
ヘタのある果物を上生菓子で表現する時に、黒文字がヘタの柄のかわりに使われることがよくあります。
この部分は食べることはできませんが、樹皮の模様が上生菓子の意匠によく調和するのと、何より香りがいいので、匂いの控えめな上生菓子にアクセントを加える目的で使うと、嗅覚がとても刺激されて効果的ですね。