「初秋(しょしゅう)」求肥製:ささま
「秋日和(あきびより)」求肥製:ささま
駿河台下の和菓子店「ささま」さんでは、柿の表現には特に力を注いでいて、
まだ熟していない青柿
中程度に熟した柿
完全に熟しきった柿
の三種類を、時期をずらして出してくる徹底ぶりです。
ただ、残念ながら、完全に熟しきった柿を買いそびれてしまって、写真は二種類しかありません。
この青柿と熟柿を見て思い出すことわざがあります。
「青柿が熟柿弔う(あおがきがじゅくしとむらう)」
熟して落ちた柿の実を見て、まだ青い柿が「お気の毒に」と弔う。だが、その青い柿もいずれは熟して落ちる運命にあるのに・・・という意味です。
お互いにたいして差のない者が、少しばかりの優劣をもとに、あれこれ言う愚かさのたとえです。
柿は栗とともに、古代から日本で栽培されていた果実のひとつです。
弥生時代の遺跡から、柿の種の破片が発掘されているし、奈良時代になって、柿が商品として流通していた事を示す文献も存在します。
このように、昔から日本人に親しまれてきた柿は、和菓子の主題としてよく用いられるばかりでなく、ことわざや慣用句の中にもしばしば登場します。
「桃栗三年柿八年」
何事も成果をあげるには、こつこつと長い年月がかかるということ。
「けちん坊の柿の種」
極度にけちな人は、ほとんど役に立ちそうもない柿の種でさえも、捨てようとしないで、 大切に持っているということから、物惜しみをする人に対して、その欠点を指摘することわざ。
「柿が赤くなると医者が青くなる」
栄養豊富な柿を食べる と病気にならないと言われ、柿の熟す秋になると病気になる者が少なく、医者は患者が減って収入がなくなり青くなるという意味。
「瓜は大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ。」
瓜は実の中心部が最も甘みが強く、皮を厚く剥くとよい。一方柿は皮のすぐ下が最も甘みが強いため極力皮を薄く剥くとよい。
など、さすが、先人たちのお言葉、どれも言い得て妙ですね!