「里の秋(さとのあき)」こなし製:笹屋吉清
棒状に作る棹物で、小豆こし餡のこなしで、栗入りの白小豆餡を山形に巻き込み、鬼簾を使って上部に階段状の凹凸をつけています。
餡の中の刻み栗のつぶつぶの食感がアクセントになって、よりいっそう奥行きのある風味に仕上がっています。
秋には大気が澄むので、遠くの山も近くに見えますが、その迫り来るような連山の美しさを表しているのでしょうか?
三角状にとんがった形は、合掌造りのような茅葺き屋根にも見えます。また、階段状の部分は、山里の段々畑でしょうか?
中心の餡の部分の断面からは栗の形が浮かんできます。
お菓子の姿からは豊作の山村のさまざまな光景が、その味わいからは故郷の香りが、そして、菓銘からは夕焼け空に渡る鳥の声や山寺の鐘の音などが連想されます。