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豊作(船橋屋)

「豊作(ほうさく)」煉切製:船橋屋 

黒胡麻を練り込んだ黄金色の煉切で餡を包み、俵形の木型で押し抜きます。さらに稲穂の焼印を押し、穂に見立てた白ごまを散らしています。 

 

お米もお菓子も一段と味がよくなる十月を象徴するかのようなお菓子ですね。収穫の成果である俵に、豊作の喜びを詰め込んで、丁寧に作られています。 

 

俵(たわら)は、藁(わら)で編んだ袋のことで、稲刈りのあと、もみを落とした藁を用いて編みます。昔ながらの編み方で編んだ米俵はとても精密で、一粒の米も洩らすことはないそうです。

 

そんな優れものの俵ですが、現在、これを使ってお米を貯蔵する人はほとんどいなくなってしまいました。 

 

でも、大黒様の姿とともに“五穀豊穣”“家内安全”“商売繁盛”の象徴として今もなおみんなに親しまれています。

 

私達の想像もつかないほど物が無かった時代、先人達は四季の織り成す自然の恵みだけで自給自足の生活してきたわけです。 

 

そんな祖先が必死の思いで命を繋いできたおかげで、今の我々の豊かな生活があるのですね。

 

この俵のお菓子を食べて、物は大切にし、また無駄なく有効に使わなければならないという思いを強くしました。