今日の一品は、秋の野に欠かせない、可憐な花をかたどったお菓子です。
「秋桜(こすもす)」煉切製:いづみや
黄色と白にぼかし染めた煉切でシークワーサー餡を包みまるめ、へら等を使って手技でコスモスの花びらを描きます。さらに、黄色い煉切の花芯を付け、緑の羊羹製の細い葉を添えたお菓子です。
花びらの先のギザギザの切れ込みが、刷毛で掃いたような繊細なヘラさばきで見事に描かれていますね。
隠れたチャームポイントである、細くか弱い葉っぱも、美しい配置で、花に寄り添うように取り付けられています。
コスモスの花色といえば、ピンクや赤紫を想像しますが、品種改良されて、最近はオレンジや黄色のコスモスも人気のようですね。
ほどよい酸味と、さわやかな香りのシークワーサー餡が、清々しい黄色にもよくマッチしています。
コスモスの開花期間は長く、6〜11月の間、半年近くも楽しめます。
これは、3種類のコスモスが入れ違いになって咲いていくためで、6〜8月頃に咲く「夏咲き」、9月に咲く「早咲き」、10〜11月に咲く「秋咲き」がリレーのように咲き継いでいきます。
明治時代に日本に初めて伝わった最初のコスモスは、「秋咲き」のものでしたが、その後の品種改良により、夏咲きや早咲きのコスモスが生まれたそうです。
夏以来ずっと楽しませてくれたコスモスもそろそろ見納めの時期が近づいてきましたね。
当日記においては今日のお菓子が、今年最後のコスモスのお菓子となります。
その可愛らしい花姿を懐かしみながら、また来年も、素敵なコスモスのお菓子に出会えるよう願いつつ、じっくり丁寧に味わいました。