「秋桜(あきざくら)」煉切製:いづみや
ピンク色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、へら等を使って手技でコスモスの花びらを描きます。さらに、黄色い煉切の花芯を付け、緑の羊羹製の細い葉を添えたお菓子です。
花びらの先のギザギザの切れ込みを、刷毛で掃いたような繊細さで表現しています。
一般的なコスモスの花びらの数は全部で8枚です。このお菓子もちゃんと8枚の花びらが描かれていますが、花芯の周囲360度に均等に配置されておらず、半分の180度の範囲に8枚すべてが並んでいます。ピカソもびっくりの不思議な意匠ですね。
オレンジ色のバージョンもあります。
こちらの花びらはなぜか7枚です。
品種改良されて、最近はオレンジや黄色のコスモスも人気のようですね。
ところで、植物は光合成をして、たっぷりエネルギーをため込むためには葉っぱの面積が広い方が有利なはずなのに、なぜコスモスの葉はこんなにも弱々しいのでしょう?
それは、コスモスの原産地であるメキシコ高原の気候によるものでした。そこは、常に乾燥した強風にさらされる過酷な土地だったため、葉を細く小さくすることで、その厳しい環境に順応し、身を守っていたのです。
この話を知って、改めてこの花を見ると、脇役の細い葉に対しても情感が湧いてきますよね。
珍しい淡い橙色のコスモス「オレンジキャンパス」