「栗の錦玉(くりのきんぎょく)」錦玉製:松むら
栗の蜜漬けを山型の錦玉の中に、大切に包み込んだお菓子です。
山型の錦玉は秋の里山を写しているようです。栗をはじめ、クルミ、山ぶどう、アケビ、ハシバミなど、たくさんの実りがあふれる秋の山は、まさに宝の山ですね。
なんだか、錦玉が宝箱の形にも見えてきました。
栗の歴史はとても古く、縄文時代の遺跡からも多くの栗が出土しています。
奈良・平安時代には菓子といえば木の実か果実のことで、その中でも栗は最高級の菓子のひとつだったそうです。
乾燥して臼でついて皮をとった搗栗(かちぐり)は保存がきくので、戦国時代には”勝ち”につながることから、武将の戦陣の祝宴に欠かせない縁起ものとされていました。
そして、茶道が盛んになる安土桃山時代には茶会の菓子に、焼き栗や、水煮にした水栗が登場するようになりました。
さらに、江戸時代になって、当時普及し始めた砂糖を使った栗菓子が作られるようになり、いろいろな形態の栗のお菓子が生まれました。
このように、栗はお菓子の素材として長い歴史を持ちながら、時代の流れの中で、改良・工夫を加えられ、さらに磨き上げられ、現代の我々は、このように洗練された、最高の味わいのお菓子を食べられるようになったわけですね。
ほんとうに、先人の職人さんたちには感謝ですね。