「栗きんとん(くりきんとん)」:松月堂
新栗を蒸し上げ、実を取り出し、適量の砂糖のみを加え大釜でじっくり炊きあげた後、茶巾でひとつひとつ丁寧に絞りあげたお菓子です。
栗の和菓子といえば、絶対にはずせないのが、この「栗きんとん」ですね。当上生菓子図鑑の人気投票でも堂々の一番人気でした。
ここでいう「栗きんとん」とは、おせち料理に入っている例の粘っこい栗きんとん(栗金団)ではなく、栗と砂糖のみで作られる高級和菓子としての「栗きんとん」です。
松月堂のある岐阜県中津川市は、この「栗きんとん」の発祥の地として有名です。
岐阜県南東部の恵那地方(中津川市・恵那市)は、恵那栗(えなぐり)と呼ばれる良質な栗の産地であり両市内には栗きんとんを製造する和菓子屋さんが軒を連ねています。
100%栗と砂糖のみで作るお菓子で、餡などの混ぜものはなく、水分は栗から出るものだけ。炊き上げるときに、鍋の底に「おこげ」ができる昔ながらの製法で丁寧に作られます。
このおこげは、 一度にあまり取れず、栗の風味の詰まった珍しい一品で、松月堂さんでは、3000円以上お買い上げのお客さんに、栗のおこげをプレゼントするサービスを行っています。
「栗きんとん」は、今年採れたばかりの栗を使うので、栗の収穫が始まる9月1日から翌年1月頃までの期間限定のお菓子です。
しっとりときめ細やかな舌触りとともに、やわらかな栗の甘みが口いっぱいに広がります。この何とも言えない栗の自然な香りと味の余韻に誘われて、もう一個、もう一個と、気付いたら3〜4個連続で食べていたなんてこともしょっちゅうです。
毎年この時季の最大の楽しみのひとつですね。