どんぐりと総称される、なら・くぬぎ・柏の実、また、しいの実やとちの実、くるみ、ぎんなんなど、木の実にもいろいろありますが、その中で王座を占めるのは、やはり栗の実です。
「早栗(はやぐり)」きんとん製:塩瀬総本家
黄色く染めた煉切で二個の栗の形をかたどり、羊羹でコーティングします。小豆のつぶし餡の上にこの栗をのせ、そのまわりに緑色に染めたそぼろを植え付け、まだ青い毬栗(いがぐり)を写しています。
方向を変えて見ると、毬の表情が変わるのがおもしろいですね。このお菓子は栗を描いたものですが、材料に栗は使われていません。
栗の木は、初夏に長く白い穂状の花を木いっぱいに咲かせ、その後薄緑色の毬に包まれた実をつけます。
秋の深まりとともに暗褐色に熟し、毬が割れて、中から褐色の実がのぞきだすと、それを「笑栗(えみぐり)」といいます。
まるで毬栗が、実りの秋が到来したことを喜んで、口を開けて笑っているように見えますよね。