「山里(やまざと)」村雨製:文銭堂本舗
小豆村雨で小豆きんとん羊羹を張り合わせ、上部に栗の甘露煮をのせ、さらに小豆きんとん羊羹を掛けたお菓子です。
ほろりほろりとくずれるように溶けていく村雨、しっとりとろけるきんとん羊羹、秋の風味を濃厚に凝縮した栗、三者三様の味わいが楽しめる贅沢な逸品ですね。
村雨とは、こし餡に砂糖と米の粉をまぜて、蒸したお菓子のことです。
ホロホロとくずれそうな、乾いた感じの風合いですが、噛むほどにモチモチ、しっとりとしてきて、やがて口の中で溶けてしまうという独特の食感が特徴です。
「村雨」という言葉は、秋から冬にかけて断続して、急に激しく降る雨のことを指す意味もあり、俳句や短歌の世界では秋の季語になっています。
ぽろぽろとくずれるようなはかなさを感じさせるこのお菓子を、時々思い出したようにぱらぱらと降っては通り過ぎる村雨に重ねているようです。
ひとしきりの村雨が通り過ぎた後、色づいた木々の間からは霧が静かに立ちのぼり、山里全体が黄金色に濡れ輝く風景が浮かびます。
村雨に濡れる紅葉