「石竹(せきちく)」こなし製:老松
薄紅色に染めたこなしで白こし餡を包み、ヘラや指の腹を使い手型で石竹の花をかたどっています。
「石竹」というのは、竹の一種かと思わせるような名前ですが、じつはナデシコ科の花のことです。
岩場で竹の様な葉をつけて咲くことに由来しています。
中国原産の花で別名、唐撫子(からなでしこ)ともいい、日本への渡来は、平安時代初期と考えられています。
また、石竹の名前に関するこんな伝説もあります。
昔、悪魔の宿る大きな岩がありました。この岩は、人が通ると生臭い風をおこし、ときには笑ったり、泣いたり、うめいたりするので、人々を気味悪がらせていました。
ある豪傑が、この岩の悪霊退治に出かけ、弓をとり、矢を放って、見事この岩に命中させました。
それからは、この巨岩はおとなしくなり悪戯をしなくなりましたが、岩に刺さった矢は抜けることなく、そのまま花になったといいます。
つまり、石に刺さった竹の矢がこの花になったことから、石竹と言われるようになったということです。
日本原産の大和撫子(やまとなでしこ)と比べると、唐撫子は花びらの縁の切れ目が浅いのが特徴です。