「撫子の花(なでしこのはな)」こなし製:両口屋是清
淡黄色とピンクにぼかし染めたこなし生地で小豆こし餡を包み、手技にて撫子をかたどり、しべに見立てたみじん粉を散らしたお菓子です。
撫子を写した上生菓子は今までに42種類集めました。
煉切製が圧倒的に多く、次いで錦玉製、こなし製のものもよく見かけます。
さらに、外郎製、求肥製、きんとん製、薯蕷製、葛製、羊羹製、淡雪羹製、道明寺羹製、餅皮製などもあり、いろいろな製法を駆使し、様々な意匠のものが作られています。
今日はすべて異なる製法、素材で作られた撫子のお菓子を、製法の五十音順にお届けしたいと思います。
◆淡雪羹(あわゆきかん)製
「なでしこ」:菊家
◆粟羊羹(あわようかん)製
「撫子」:とらや
「粟(あわ)」を見間違えて「栗(くり)」と呼んでしまいそうですが、粟(あわ)羊羹とは、本物の粟(あわ)が使われているわけではありません。粟(あわ)に見立てたみじん粉を寒天に加えて固めたものです。 ぷつぷつした食感が粟(あわ)に似ているのでこう呼ばれています。
◆外郎(ういろう)製
「撫子」:鶴屋吉信
◆黄身時雨(きみしぐれ)製
「撫子」:花ごろも
◆求肥(ぎゅうひ)製
「撫子」:彩雲堂
◆錦玉(きんぎょく)製
「撫子」:村上
◆きんとん製
「なでしこ」:菊家
◆葛(くず)製
「撫子」:鶴屋八幡
◆こなし製
「河原撫子」:両口屋是清
◆薯蕷(じょうよ)製
「なでしこ」:東宮
◆道明寺羹(どうみょうじかん)製
「夏庭(なつにわ)」:鶴屋吉信
◆煉切(ねりきり)製
「なでしこ」:桔梗屋
◆餅皮(もちかわ)製
「河原撫子」:両口屋是清
◆羊羹(ようかん)製
「なでしこ」:彩雲堂
「撫子」は「撫でし子」であり、愛しい子の意味があります。それだけに、職人さんがわが子に接するように、愛情を注ぎながら丁寧に創り上げた様子が伝わってくる逸品ばかりですね。