「なでしこ」きんとん製:菊家
ピンク色と白にぼかし染めたそぼろを餡の周りに植え付け、その上に細かく刻んだ錦玉を盛り付けています。
細かく散らした錦玉は雨露を表しているのでしょうか?
このお菓子のイメージにぴったりな歌が万葉集の中にあります。
「我が背子が 宿のなでしこ日並べて 雨は降れども色も変らず」(大原真人今城)
(何日も雨が続いていますが、あなた様の庭のなでしこは色も変わらずきれいに咲き続けていますね。)
雨が似合う花の代表格は紫陽花ですが、なでしこと雨を一緒に詠んだ歌も、意外に数多くあるようです。
確かに、なでしこのあの小ぶりで、繊細な雰囲気は、しとしと降る雨に似合う感じですね。
なでしこは秋の七草のひとつなので、秋に咲くイメージがありますが、実際は6月頃から咲き始め、開花期間が一部梅雨時期と重なります。
だから、雨の中でしっとり濡れ咲くなでしこの姿を見る機会も多いのでしょうね。