「朝霧(あさぎり)」煉切製:福壽堂秀信
ごくごく薄い紅色と緑色にぼかし染めた薯蕷煉切で小豆こし餡を包み、茶巾絞り仕立てにしたお菓子です。
霧とは、水蒸気が急に冷やされて小さな水滴となり、空気が白く濁ったものです。
霧は一年中見られる現象ですが、特に気温の変化が著しい秋に多く見られるので、秋の季語になっています。
科学的には春の霞とまったく同じものですが、文学の上では霧と霞のイメージはかなり異なります。
霞は「霞たなびく」「八重霞」といわれるように、ゆるやかで、のどかな印象があるのに対し、霧は「霧が立ちこめる」「五里霧中」などと、陰鬱で物憂げな雰囲気が漂います。
夕霧、夜霧、濃霧、山霧、霧の帳、霧雨 、霧時雨・・・
そんな中で、唯一「朝霧」だけは、清々しい秋の空気を感じさせてくれる爽やかな霧ですね。