「峠の朝(とうげのあさ)」月餅皮製:鶴屋八幡
白い月餅皮(げっぺいがわ)で青餡を包み、編笠形に整え、表面に焼印で木立を描いたお菓子です。
月餅皮というのは聞きなれない生地ですが、鶴屋八幡さんに問い合わせたところ、これは求肥に似たもので、求肥は餅粉を使うのに対し、月餅皮は米粉を使うということで特に区別してこう呼んでいるそうです。
編笠形は、尖りのある楕円形というか、人の眼の形のような紡錘形の独特な輪郭で、峠の山の稜線を表しているようです。
中の青餡の緑色が薄い月餅皮を通して透けて見えますが、この様が霧に包まれて霞んで見える朝の峠の木立の雰囲気をうまく表現していますね。
朝の峠から見える風景は、一日として同じものはありません。
山の気象は日々変化し、また同じ日でも時刻によってどんどん変わっていきます。
気象条件がそろえば、見事な雲海が見られることもありますし、霧に煙る幻想的な朝景や、刻々と変化する朝焼けの絶妙な色合い、神々しい日の出、雲間から降り注ぐ光のシャワーなど、ダイナミックな風景の変化を堪能できます。
そんな限られた特別な場所と時間帯が、この「峠の朝」のお菓子です。