「鶏頭(けいとう)」煉切製:ささま
周りは煉切で、中の餡は小豆の漉し餡です。意匠は名物裂(めいぶつぎれ)の鶏頭の文様から模ったものだそうです。
名物裂とは、今から六百年ほど前の鎌倉時代より江戸時代にかけて、主として中国の宋・元・明から伝来した織物。名物の茶入れ・茶碗などの袋や掛け軸の表装などに用いられ、珍重されました。これらの裂は宝物のように扱われ、大茶人千利休や小堀遠州の名前、文様からの名前などが一品ずつに付けられ、博物館や美術館に大切に保管所蔵されているものもあります。
大鶏頭金襴 (おおけいとうきんらん)
(出典:きものと悉皆みなぎ)
鶏頭(けいとう)は、異名「韓藍(からあい)」とも呼ばれます。
私は子供のころ、この花が毛糸で編んだような質感に見えて、「けいとう(鶏頭)」ではなく「けいと(毛糸)」という名前の花だと思い込んでいました。
紅、赤、黄、白色の小花を無数につけ、冠状の花穂となります。上部が著しく広がり、これが鶏のとさかに似ていることからこの名がつきました。茎は太く平らで赤み帯びています。
わが国でも、韓藍の名で「万葉集」に出てくるほど古くから栽培されていましたが、江戸時代、疫病の原因と信じられ改良がおくれたといわれています。
薬効としては、花あるいは種子の粉末を、止血や下痢止めに使います。