「彼岸花(ひがんばな)」煉切製:いづみや
紅白にぼかし染めた煉切で梅餡を包み、その表面にヘラを用いて彼岸花の花姿を刻み、シベの先に白ごまを配したお菓子です。
秋のお彼岸の頃に咲くのが彼岸花です。
枝も葉も節もない茎のみが伸び、その先端に燃え上がる炎のような独特な形の真っ赤な花を咲かせます。
人里に生育し、田畑の周辺や堤防、墓地など身近に多く見られ、古来より人々の暮らしに根付いてきたことから、この花にまつわるいろいろな伝説や言い伝えがあります。
そのため異称も多く、曼珠沙華、天蓋花、死人花、墓花、葬式花、地獄花、幽霊花、剃刀花、狐花、捨子花、毒花、手腐り、痺れ花など、恐ろしげな名前が並びます。
このように異彩を放つ花だけに、上生菓子の主題として取り上げられるのは非常に珍しいですね。
お彼岸のお供え物と言えば、「おはぎ」が定番ですが、この彼岸花のお菓子をお供えするのも乙ですね。