「舟月夜(しゅうげつや)」羊羹製:源吉兆庵
丹念に練り上げられた小豆羊羹に、黄金色に輝く月と、姿美しいうさぎを描いています。
金太郎飴のように、どこを切っても月とうさぎが出てきますが、切る位置によって、また、切る角度によって、微妙に表情が変化するのがおもしろいです。
月に向かって、跳び上がっていますが、月までの距離がまだあります。
上の断面よりもうさぎの体がさらにしなやかに伸びて、鼻先がついに月に届きました。
裏から見ると、これまた、違った姿にみえますね。なんだか鳥のようにも見えます。
このお菓子には、こんな芭蕉の句が添えられています。
「名月や池をめぐりて 夜もすがら」
満月の夜に、舟を浮かべて、楽しいお月見。池に映った名月のあまりの美しさに、時の過ぎるのも忘れて、一晩中池を漂っていました。
こんな意訳になるでしょうか。
絵柄も素晴らしいのですが、その味が、これまた私好みで、甘さは控えめなのに、小豆の風味がとてもよく活きていて、適度なもっちり感はあるのに、口どけがとてもいい、大変おいしい羊羹でした。