「栗月夜(くりづきよ)」錦玉製:秋色庵大坂家
黒糖の寒天の中に、出回り始めて間もない小さめの国産栗を封じ込めたお菓子です。栗が大きくなる前までの短い期間限定の貴重な一品です。
鏡のように輝いて見える錦玉は秋の夜の静かな湖面のようですね。
満月の夜に、舟を浮かべて、楽しいお月見です。中秋の名月は煌煌と輝き、水面に映ったその姿のあまりの美しさに、時の過ぎるのも忘れて、一晩中湖上を漂っていたい気分です。
栗の淡い黄色の輪郭が黒い錦玉越しにほのかに浮かび上がって見える様子は、まさに湖面にぼんやり映り込んだ月影のようです。
意匠も素晴らしいのですが、それ以上に濃厚な黒糖の風味が最大限に生かされた瑞々しい錦玉と、緻密でほっくりした栗の食感の調和が見事な逸品でした。