「萩の露(はぎのつゆ)」錦玉製:菊家
器に硫酸紙を敷き込み、煮詰めた錦玉を注ぎ、緑色に染めた羊羹片を入れ、紙を絞って冷やし固めます。最後にピンク色に染めたみじん粉を散らし、露を含んで可憐に咲く萩の花を写したお菓子です。
透明な錦玉越しに見える緑色は、まさに夜露に濡れた野の花の風情ですね。
絞り目の自然のひだ模様は伸びやかな枝のようにも見えます。
草冠に秋と書く萩は秋を象徴する花で、秋の初めに、小さな丸い葉の間に数多くの細かな花をつけます。
その楚々とした花が秋風に揺れる姿は心に沁み入りますね。
“朝ぼらけ萩のうは葉の露みれば
ややはださむし秋のはつかぜ”
(新古今和歌集)