「こぼれ萩(こぼれはぎ)」浮島製:成城風月堂
緑色に染めた浮島に大納言小豆や手亡豆を鹿の子風に継ぎ分け、萩の花に見立てた紅色のみじん粉を散らしたお菓子です。
丁寧に積み上げられた豆の蜜漬けが石垣を思わせますね。その上に萩の花が点描画のように散りこぼれた光景が目に浮かびます。
日本人は、咲いている花だけでなく、散ってゆく花、枯れてゆく花など、終わりゆく花にも風情を感じ、それぞれの花の終焉の姿を、繊細な感性で描き分けています。
「はらはら舞う」桜、「ほろほろ散る」山吹、「しぼむ」朝顔、「落ちる」椿など、
萩の花が散る様子は「こぼれる」「こぼれ萩」と表現し、味わいのある菓銘にもなります。
また、「咲きこぼれる」という表現もあり、これは花が枝や茎からこぼれるようにいっぱいに咲く様子を表しています。
こぼれるように咲き、こぼれるように散る萩の美しさを、小さなお菓子の中に見事に凝縮させた逸品ですね。
(出典:http://iouji.hamazo.tv/e2853710.html)