「水桔梗(みずききょう)」錦玉製:梅園
求肥の角切りを芯にして小豆つぶ餡で包みまるめ、その周りを帯状の錦玉羹で囲い、そぼろ状の錦玉を散らします。さらに、その上に煉切製の桔梗の花や羊羹製の葉を添えたお菓子です。
桔梗の開花期は6〜9月で、秋の七草のひとつであり、秋の季語にもなっているため、秋の花のイメージが強いですが、最盛期は夏(6〜7月頃)です。
輪郭のはっきりした、折り目正しいその花姿には凛とした風格を感じる一方、折れそうな細い茎やうつむきがちに咲く様子は、奥ゆかしく上品な雰囲気をも醸し出していますね。
桔梗は夏から秋にかけて、季節を橋渡しするように咲くことから、錦玉の瑞々しい輝きで夏の名残りを残しつつ、ひんやりとした秋の空気をも感じられる見事な素材構成です。
一見、つぶ餡のみに見えますが、中心部に求肥餅がそっと隠されているのもうれしいサプライズですね。粒立ちの際立った小豆と、もちもちした求肥の食感の違いが楽しめます。
透明感あふれる錦玉を効果的に用い、水辺で涼やかに咲く桔梗を見事に写した逸品です。