「桔梗(ききょう)」煉切製:みのや本店
紫色と白にぼかし染めた煉切で小豆のこし餡を包み、手技(てわざ)で桔梗の花形を写したお菓子です。花芯に見立てた黒ごまを三つ添えています。
桔梗は、上生菓子の主題としても人気の花で、いろいろな意匠のものがありますが、よく目にするのは、星型の特徴的な花の形を手技でかたどったものです。
みのや本店さんの意匠は、正面からみた左右対称形の花ではなく、斜め横の角度から見たもので、しかもまだ開き始めの桔梗のイメージですね。ある一か所の花びらだけ特別に大きく誇張して、潔くはさみで切り取ったような花びらの特徴を見事に表現しています。
このような、デフォルメの手法は、古くはエジプトの絵画からはじまり、近代美術、戯画、風刺画、イラストレーション、漫画、アニメなど、世界各地のあらゆる時代のさまざまな絵画表現に見られる手法です。
上生菓子は、そもそも四季の風物をデフォルメして表現するのが習わしのものなので、まさにこのような手法はお手の物ですね。