「女郎花(おみなえし)」外郎製:菊屋
淡い黄色に染めた外郎生地で白こし餡を包みまるめ、白いみじん粉を散らしています。
なんとやさしい黄色でしょう。これなら、お茶席にも相応しいですし、花名のイメージにも、秋の雰囲気にもぴったりですね。
なにげなく散らしてあるみじん粉の配置も実に芸術的で、まるで、あらかじめ綿密に計算して設置する庭石のように、必然の場所に並べられている感じです。
また、外郎生地の象牙のような光沢感も、すこし寂しさをともなう秋の涼しさをうまく表現しています。
女郎花は、山野のいたるところに自生し、丈は1メートルほどになります。細長い茎をもち、茎の上部に粒状の黄色い小花をたくさんつけます。
風になよなよとそよぐ様子はいかにも女性的で、日本文学でもしばしば女性に見立てられています。また、和歌においても人気の花で、ことに万葉集と三代集(古今・後撰・拾遺)の中で、多く詠まれています。