秋の七草シリーズ、第3回目は「葛花(くずはな)」です。
葛粉で作られた上生菓子は数えきれないほどありますが、葛の花を写したお菓子ということになると、ほとんどありません。
その特徴的な花姿はお菓子でも表現しやすそうなのですが、七草を描いたお菓子の中では一番少なく、コレクター泣かせの花ですね。
過去に「ちもと」さんと「鶴屋八幡」さんのものを紹介しました。
「葛の花(くずのはな)」きんとん製:ちもと(2014年)
「葛の花(くずのはな)」きんとん製:鶴屋八幡(2015年)
いずれもきんとん製で似たような雰囲気のお菓子だったので、2016年にはガラリとイメージを変え、オリジナルデザインで作ってみました。
「葛の花(くずのはな)」煉切製:龍月/上生菓子図鑑(2016年)
今年も独自の意匠にこだわり、葛の花だけでなく、葉っぱも加え、手技のみで表現することにしました。
余談になりますが、「葛藤(かっとう)」という言葉がありますよね。葛も藤も樹木に絡み付くツル草で、このツルがもつれて 解けない状態が葛藤です。
まさに「葛」と「藤」は表裏一体の関係にあるようで、私の個人的なイメージとして、葛の花は藤の花を逆さにしたような形に似ていると常々思ってきました。
例えば、藤の花のイラストがあります。
これを180度上下に回転させると。
こうなり、これを下の葛花の絵と比較してみると。
どうでしょう、雰囲気が似ていると思いませんか!
つまり、藤のお菓子を逆さまにして、花の色を紫から赤紫に変えれば、葛の花が表現できるのではないかと考えました。
そこで、行きつけのお店、横浜・野毛にある御菓子司「もみぢ」さんの藤のお菓子をそのまま利用し、少し手を加えるだけで葛の花に変身させてみることに。
「藤(ふじ)」煉切製:もみぢ
藤を写したこちらのお菓子の向きを変え、葉っぱを添えます。
葛の葉っぱのチャームポイントは、軸の先端から3枚ひと組で葉が付くところです。
植物学的には「三出複葉」というそうですが、今回はこの葉っぱにこだわりました。
まずは、第1案。
「葛花(くずはな)」煉切製:もみぢ/上生菓子図鑑
花の本体の方に葉を付けると、上にスッとのびていく葛花のイメージが少し損なわれるようなので、葉っぱをお皿の方に並べるパターンも作ってみました。
第2案
「葛花(くずはな)」煉切製:もみぢ/上生菓子図鑑
いずれにせよ、職人さんと一緒に創り上げた、世界にひとつだけのお菓子はやはり格別ですね (^◇^)/