「花桔梗(はなききょう)」道明寺製:とらや
桔梗の一輪をかたどった瀬戸型に、薄紅紫色に染めた道明寺羹を流し込み白小豆こし餡を包んでいます。
安永2年(1773)頃に初めて創作されたということですから、250年近くも連綿と守り継がれている由緒正しいお菓子ですね。
桔梗は夏から秋にかけて、季節を橋渡しするように咲くことから、錦玉の瑞々しい質感で夏の名残りを残しつつ、道明寺粉を加えることでひんやりとした秋の空気感をも醸し出しているようです。
蕾の時は紙風船のように花びらがくっついている桔梗ですが、蕾が開くと星形のくっきりとした輪郭の凛々しい花になります。
「桔梗」のそれぞれの漢字から木ヘンを取ると、「吉更」つまり「更に吉」となることから縁起が良いと好まれ、明智光秀、加藤清正、坂本龍馬などが家紋として桔梗紋を用いたといわれています。
桔梗紋(出典:WEB家紋帳http://kamondb.com/)
光の当て方を変えると、この桔梗紋が白く輝きながら浮かび上がり、崇高な雰囲気に包まれます。