「桔梗（ききょう）」煉切製：大倉山青柳
紫色と白にぼかし染めた煉切で小豆のこし餡を包み、手技(てわざ) で桔梗の花を写したお菓子です。
清々しい秋の空気の中で、清楚に、凛々しく、折り目正しく咲く桔梗の花姿が目に浮かぶようです。
桔梗は、上生菓子の主題としても人気の花で、いろいろな意匠のものがあります。そんな中から、和菓子の花形とも呼ばれる手技で作り上げた煉切の桔梗を取り上げました。
淡くほのかに紫色が浮かび上がる伝統のぼかし技法はいつ見ても惚れ惚れしますね。
五枚の花びらは一枚一枚すべて表情が異なり、手作りならではの風情が楽しめます。
へらで鋭く刻みこんだ花びらの放射状の筋模様がお菓子の顔つきをキリリと引き締めています。
中央に鎮座する黄色く太いしべの絶妙な傾きも計算されたものでしょう。
上生菓子の御家芸ともいえる技の数々が堪能できる贅沢な逸品ですね。
