「衣被(きぬかつぎ)」煉切製:三鈴
白い煉切で小豆つぶ餡を包みまるめ、肉桂粉を所々帯状に付け縞模様を描き、小芋を写したお菓子です。上にちょんと乗った孫芋が可愛らしいですね。
衣かつぎとは、里芋の小芋を皮のまま蒸し、その皮を剥いて食べる秋の料理です。
平安時代の女性が外出の時に使ったかぶりものを「衣かつぎ」といい、茹でた里芋の皮がポコっと取れたようすがこれに似てることから、同じ名前で呼ばれるようになりました。
里芋はなんと縄文時代から食べられていて、昔は芋といえば里芋のことをさしていました。
さつまいもが一般的になったのは江戸時代、じゃがいもは明治時代から栽培されるようになったということなので、里芋の歴史は芋の中で最も古いのです。
俳句の世界でも、単に芋と言えば里芋のことをさし、秋の季語になっています。
お月見の十五夜は「芋名月(いもめいげつ)」とも言われ、里芋の収穫時期と重なることから、収穫祭も兼ねてお祝いする意味があり、里芋は欠かせないお供え物となっています。
こんなわけで、上生菓子の世界でも、秋になると里芋が主題のお菓子がちらほら出てきて目を楽しませてくれますね。