「紅芙蓉(べにふよう)」葛製:両口屋是清
葛に白小豆を散らし、紅あんを入れています。五枚の花弁を五角形でシンプルに表し、白いもこもこしたイメージのしべを白小豆で見立てています。朝露を含んで開く芙蓉の風情は楚々として艶麗です。
芙蓉は朝開き、夕べにはもうしぼんでしまう一日花です。
その花の姿には暑い夏を越えて、やっと秋を迎えた安らかな印象があります。花色は多くは白ですが、淡紅や紅色もあります。
このお菓子は紅芙蓉と銘打っていますが、紅色とはいっても、とてもやさしい淡い色で、一日花の儚さを象徴しているようです。
とても抽象的な表現なので、見る人によって解釈はいろいろあると思います。私自身も何度も見れば見るほど新しい姿が見えてきます。
和菓子を造るのに関わった人たちの気持ちをうまく読み取れるように味わうのが理想なのですが、そこまでいかなくても、とにかく見て、食べて感じることが大切ですね。