今日の上生菓子のモチーフとなったのはこちらの絵です。
上村松園《新蛍》
(出典:http://www.yamatane-shop.com/product/311)
女性と蛍を描いた《新蛍》というタイトルの作品は複数存在し、松園のお気に入りのテーマだったようですね。
着物姿の女性が団扇を手に、簾の間から蛍を眺めている構図です。絵の写真が小さくて見えにくいですが、左下の印の少し上あたりに蛍が描かれています。
この絵にちなんで創作されたお菓子がこちらです。
「初ほたる(はつほたる)」煉切製:菊家
黄色と白に染め分けた煉切で柚子餡を包み、団扇をかたどった木型にて押し抜き、羊羹製の柄を挿します。さらにその上に千筋を付けた短冊状の錦玉羹をのせ、黄色い錦玉製の蛍を添えたお菓子です。
印象的な黄色い団扇と、絵画の大半を占める簾、蛍の三つがお菓子の主要素になっています。
淡い青緑色に染められた中の柚子餡は女性の着物の色を表しているようです。
簾越しに顔をのぞかせる構図は、奥ゆかしい日本的な美意識を感じますね。