「ほおずき」煉切製:梅花亭
黄色、橙色、黄緑色にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、手技(てわざ)でほおずきの形をかたどり、ほうじ茶の茶柱を挿してヘタに見立てています。
ほおずきは6〜7月ころに淡い黄色の花を咲かせ、その後、六角状の萼(がく)の部分が発達して果実を包み袋状になり、熟すとオレンジ〜赤色になります。
この袋状の実は、上生菓子の主題としても人気で、この季節いろいろな形、色合いの意匠のものが出てきます。
今日は神楽坂の名店「梅花亭」さんのリアルなほおずきを色々な角度からお楽しみください。
反対側の側面です。こちら側は大きな割れ目が一本くっきり刻まれている以外はシワが少なくて、全体的につるっとしています。
ヘタのついている頭側から見ると、またぜんぜん雰囲気が変わりますね。
目の悪い母親がヘタの木の枝まで食べてしまったので、大丈夫だとは思いながらも、念のためお菓子屋さんに問い合わせたところ、「ほうじ茶の茶柱を使っているので、食べられますよ」という返事をいただき、ひと安心!
最後にお決まりの断面図です。どういう手順で作られたかが手に取るようにわかる、まさに上生菓子の設計図ですね。
中心のこし餡の周りに白い煉切が使われているとは意外でした。橙色、黄色、白の三色の餡がそれぞれ絶妙な厚さに重なり合って、見事なグラデーションが生まれているんですね。