「露草(つゆくさ)」きんとん製:東宮
水色と白に染め分けたそぼろを小豆つぶ餡のまわりに植えつけ、小さなさいの目に切った透明な錦玉の露を散らし、露草を写したお菓子です。
露草のあの美しい青色には惹きつけられますよね。
ひとことで青と言っても、咲く時期や個体差によって微妙に異なり、水色、青色、青紫色、薄紫色など様々です。
日本の伝統色のなかには露草色というのもあります。露草の花の汁を摺り付けて染めた色のことで、下図のような明るい青色です。
(出典:http://irocore.com/tsuyukusa-iro/)
この露草色は色が落ちやすいことから『万葉集』では「うつろう」「消える」などにかかる枕詞に使われていました。
また、露草は朝咲いた花が昼にはしぼんでしまうことから、儚さの象徴にもなっています。
このお菓子の澄みきった空のような色合いは、そんな露草の繊細でか弱い性質を見事に表現しているようです。