山種美術館シリーズ、今日はこちらの作品にちなんだお菓子です。
橋本明治《秋意》
(出典:http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html)
秋らしい紅葉柄の着物を着た舞妓さんを、力強い輪郭線で描いた個性的な作品です。
橋本明治は明治生まれの日本画家で、文化勲章を受章しています。
人物画ですが、全身すみずみまで細かく描かれているので、これをお菓子で表現する場合には工夫が必要です。
煌びやかな髪飾りのみ、または手に持った扇子のみにスポットをあてて描くとか、《秋意(しゅうい)》という作品名からイメージして創作するなど、いろいろな手法が考えられますが、今回ははたしてどんな意匠になったのでしょうか。
「舞妓(まいこ)」煉切製:菊家
紫と白にぼかし染めた煉切に千筋を付け、ジグザグに折りたたむように小豆こし餡を包み、錦玉羹の紅葉を配したお菓子です。
流水に紅葉をあしらった着物の柄に注目し、色合いは紫と白に、流水を千筋で、紅葉を錦玉羹で描いています。
琥珀色と透明な二色の錦玉の美しい輝きは、舞妓さんの華やかさそのものですね。
一子相伝で守り継がれている自家製こし餡の美味しいこと。
「見て美しいだけでなく、食べて美味しい」がモットーの菊家さんですが、ここの餡は牛乳が入っているわけではないのでしょうが、なぜか乳製品のもつあの独特のコクがあり、他のお店とは一線を画す特別な味わいがあるのです。