「花木槿(はなむくげ)」葛製:鶴屋八幡
白餡を葛で包み、木型で擬宝珠(ぎぼうし)の形に固め、木槿の花を写したお菓子です。先端部分のみ紅色に染めているのがポイントです。
擬宝珠とは、寺や神社といった伝統的な建築物の欄干などの柱の上端につけるネギの頭のような形をした装飾のことです。
木槿(むくげ)はアオイ科の落葉低木で、 大韓民国の国花でもあります。庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花としても欠かせない花です。
インドや中国が原産で、日本へは奈良時代に中国から渡来したといわれています。
夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい五弁の花をつけ、特に、白の一重花に中心が赤い底紅種は、千利休の孫である千宗旦(せんそうたん)が好んだことから、「宗丹木槿(そうたんむくげ)」とも呼ばれています。
このお菓子は、この宗丹木槿を写しているように見えます。
早朝に開花し夕方には萎んでしまう「一日花」で、はかないものの例えとして、俳句などによく詠まれています。俳句の世界では秋の季語になっています。