今日は「朝顔総集編」と題して、いろいろな素材、いろいろな意匠の朝顔のお菓子を思う存分に味わい尽くしましょう!
朝顔を写した上生菓子は58種類集めましたが、その中で一番多いのは煉切製です。
定番の形は、丸く花形をかたどり、中央部を星型にへこませ、その中へ錦玉を流し込んだり、露に見立てたさいの目状の錦玉をのせます。さらに、煉切や羊羹製の葉を添えたり、グラス絞り羊羹でクルクル巻いた蔓を描きます。
「朝顔(あさがお)」煉切製:松むら
「朝顔(あさがお)」煉切製:福島家
いずれも典型的な朝顔のお菓子です。
あと、煉切といえば、木型ものもはずせませんね。
「あさがお」煉切製:秋色庵大坂家
葉っぱの葉脈やつぼみまでリアルに再現された、精巧な図案になっています。
煉切以外にも、様々な素材・製法で作られたものがあります。
<こなし>
「朝顔(あさがお)」こなし製:鼓月
煉切とは異なるこなしならではの光沢が美しいですね。
こなし製の木型ものもあります。
<こなし>
「あさがお」こなし製:豊島屋
シンプルで洗練された木型です。
<外郎>
「朝涼し(あさすずし)」外郎製:鶴屋吉信
ピンクが多い中、涼し気なブルーが目を引きます。
<雪平>
「目さまし(めさまし)」雪平製:ささま
雪平ならではの純白が朝の爽やかさを強調しているようです。
<求肥>
「朝の花(あさのはな)」求肥製:彩雲堂
中央のくぼみには葛羊羹を流し込んでいます。
<薯蕷>
「朝顔(あさがお)」薯蕷製:豊島屋
薯蕷生地を使ったものはこのお菓子のように、焼印を押して朝顔を描くことがほとんどですが、薯蕷饅頭で朝顔の花を精巧にかたどった珍しいお菓子もあります。
「朝顔まんじゅう(あさがおまんじゅう)」薯蕷製:栗山
葉っぱまで薯蕷生地で作るこだわりよう。
<きんとん>
「朝顔(あさがお)」きんとん製:豊島屋
きんとん製で抽象的に描いています。ここまでくると、菓銘の助けがないと何を描いているのか予測不能です。
<羊羹>
「夏の詩(なつのうた)」羊羹製:大倉山青柳
羊羹の中に二輪の朝顔を描いた手の込んだ逸品です。
<錦玉>
「朝顔(あさがお)」錦玉製:鳳月堂
錦玉の円柱の中に朝顔をまるごと封じ込めたもの。
「朝顔の花(あさがおのはな)」錦玉製:菊家
錦玉の中に色とりどりの煉切やそぼろで朝顔を描いた華やかな作品です。
<黄身時雨>
「朝顔しぐれ(あさがおしぐれ)」黄身しぐれ製:清閑院
口の中でほろほろとくずれるようにとけてゆく黄身時雨が最高です。味だけで評価すると、このお菓子が一番おいしかったですね。
<桃山>
「桃山・匠(ももやま・たくみ)」桃山製:寿々木
桃山製の朝顔は初めて見ました。
<道明寺>
「涼風(すずかぜ)」道明寺製:とらや
珍しい道明寺製です。氷餅をまぶし、朝顔の焼印を押しています。
開いた花ばかりでなく、つぼみを描いたものもあります。
「あさがほ」外郎製:成城風月堂
「つぼみの朝顔(つぼみのあさがお)」煉切製:大倉山青柳
「あさがお」求肥製:もみぢ
うちわの意匠の中に朝顔を描いたものもあります。
「夕涼み(ゆうすずみ)」煉切製:花ごろも
「涼風(りょうふう)」雪平製:成城風月堂
花を描かずに朝顔を表したお菓子もあります。
「もらい水(もらいみず)」錦玉製:森八
同じテーマでも、職人さんによって描く世界は千差万別。
予期しない意匠を見つけて「ほぉ〜」と唸るのも上生菓子の醍醐味ですね。