「朝顔(あさがお)」煉切製:松むら
薄紅色に染めた煉切で餡を包み丸め、中央部をへこませ、露に見立てたサイコロ状の錦玉と、葉っぱ、巻いた蔓(つる)を添えています。
朝顔は、夜明けに開いて昼前にはしおれてしまいます。このはかなく奥ゆかしいイメージは日本人の感性にあっているような気がしますね。
私が小学生の頃、夏休みの課題として、朝顔の観察日記をつけることが定番だったので、夏の花のイメージがありますが、実は秋の季語に分類されているのです。
俳句の世界では、朝顔は秋の訪れを告げる花とされていて、今の時期に登場することはないのですが、和菓子の世界では早くもちらほら店頭で見かけるようになりました。
朝顔は、旧暦の七月(新暦では八月下旬)の七夕のころに咲くので牽牛花ともよばれます。
奈良時代に、薬として遣唐使により日本にもたらされたといわれています。
上生菓子の主題としてもよく取り上げられていますが、デザインのバリエーションは比較的少ないのが特徴です。
たいてい丸く花形をかたどり、中央部をへこませ、露に見立てたさいの目状の錦玉をのせたり、葉の形にくり抜いた煉羊羹やクルクル巻いた蔓(つる)を添えたりする意匠が一般的ですね。